今日、地家室園のアワサンゴが、飼育に失敗して死滅寸前になっているという話を耳にした。
開館前から、「そもそもアワサンゴを飼育できる人材がいるのか」という疑問の声はあった。デリケートで生息条件の限られたこの珊瑚を、狭い人工水槽に閉じ込めて本当に守れるのか。そんな声を押し切って始まった「保護展示」が、今になって現実の壁にぶつかっている。
結果的に起きているのは、「環境保護」どころか「環境破壊」ではないのか。
地域の貴重な自然資源を「見せ物」にすることが、果たして本当の保護といえるのだろうか。自然は人の都合では生きていけない。善意であっても、過信や軽率な管理が命を奪うことがある。
近いうちに、地家室園を訪ね、アワサンゴがどのような状態になっているのか、自分の目で確かめてこようと思う。守るべきは命の美しさであって、展示の体裁ではないはずだ。
さらに気になるのは、こうした公共施設の“その後”である。使われなくなった施設は、ウイスキー蒸溜所にされたり、5G対応の「ワーケーション施設」にされたり、果ては資産家や海外からの富裕層の隠れ家として転用されていく──そんな未来で見られるようになってきた。
自然保護や地域振興の名を借りて、結局は誰のための再開発(道楽)なのか。そこには冷たい現実がある。