【漫画家】高妍(ガオ・イェン)「台湾を基盤に活動する20年代注目のイラストレーター」

高妍 / GAO YAN(ガオ・イェン)

台湾を基盤に活動する20年代注目のイラストレーター


概要


国籍 台湾
生年月日 1996年6月
職業 イラストレーター、漫画家
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高妍は台湾のイラストレーター、漫画家。1996年6月、台北生まれ。幼少期は手塚治虫の「鉄腕アトム」や「ブラックジャック」に夢中になり、最近では漫画雑誌「ガロ」や漫画家の浅井いにお、近藤ようこなどに大きな影響を受けている。

 

2014年から自費出版でイラスト、漫画冊子の発表を開始し、これまでに7冊を出版。ブレイクスルーになったのは2018年に細野晴臣の歌からインスピレーションを得て、台湾の若者の心情を描いた漫画『緑の歌』

 

マンガシックの宣伝やSNSを中心に注目集めるようになる。2021年、日本で最も注目される台湾のイラストレーターである。

 

その作品は、作詞家・松本隆の手に渡り、SNSで言及したことから日本でも注目され、マンガシックが日本語版を制作。

 

「漫画を描く上でとても大切なことは、自分の私生活の経験をいかにして物語に落とし込むか、そして文化が異なる人でも理解できるようにすること」と高は主張している。

 

同年、2020年、短編漫画集『間隙・すきま』を発表。2018年9月から1年間、沖縄県立芸術大学で油絵や版画を学ぶため沖縄に留学しており、本作品はそのときの体験を凝縮した一冊である。

 

また、同年2月にフランス・アングレーム国際漫画祭に参加している。

略歴


幼少期


彼女は物心付いた頃から絵を描くのが好きだった。祖母と母が芸術に関する学校に通っていたので、家庭の影響もあるかもしれないという。家族は絵の仕事に進むことに対して積極的に支援してくれた。

 

美術科のある高校に入学し、毎日、油絵や水彩画やデッサンを描く。その後、台湾芸術大学の視覚伝達デザイン学系に入学する。将来、書籍やバンドのCDジャケットのデザインやイラストレーションの仕事を希望していたので、当初はイラストレーターやデザイナーになりたいと思っていた。

 

しかし、大学では時代遅れな教育システムや指導方法を採用していたので、彼女にとって良い環境ではなく、また自己表現も認められなかった。そのため、大きな失望を感じて、欠席が多くなり、絵に対する創作意欲も低下したが、代わりにインディーミュージックに夢中になり、小説や漫画や音楽などさまざまなカルチャーに囲まれて過ごす日々がしばらく続いたという。

キャリア


ある日、台北にある漫画喫茶「Mangasick」に行ったときにこれまで見たことのない表現に出会い衝撃を受け、創作意欲を取り戻す。

 

その後、彼女は自費出版物、いわゆるZINEを作り始める。ZINEの創作を続けているうちに作品数や発表する機会が増え、SNSを通じてイラストレーションや漫画の仕事の依頼が来るようになり、自然とイラストレーター・漫画家という職業になった。

 

2018年に細野晴臣の歌からインスピレーションを得て、台湾の若者の心情を描いた漫画『緑の歌』が人気を博し、日本語版も発行された。

 

なお、2018年9月から1年間、沖縄県立芸術大学で油絵や版画を学ぶため沖縄に留学しており、本作品はそのときの体験を凝縮した一冊が『隙間』である。

 

2020年に大学を卒業し、同年2月には台湾パビリオン代表としてアングレーム国際漫画祭に出展する。また、2021年に初めての単行本を台湾で出版する予定で、日本での漫画連載も相談中だという。

村上春樹のエッセイのイラストを担当して日本でブレイク


2020年に文藝春秋から村上春樹のエッセイ『『猫を棄てる 父親について語るとき』で表紙と挿絵を担当し、日本で本格的にイラストレーターとしてのキャリアを開始

 

「猫を~」のイラストレーターに抜擢されたきっかけは、日本で昨年10月に刊行されたファッションイラストレーション関連ムックに掲載されたのがきっかけ。誌面では自然を題材としたシリーズ作品が紹介されており、「猫を~」のデザイン担当者の目に留まった。そして複数の候補作家の作品の中から、村上さん自身が高さんの作品を選んだという。

 

なお、漫画『緑の歌』の「緑」は村上の小説「ノルウェイの森」の登場人物の名前から取るなど、高さの創作活動において村上春樹作品の影響は根深い。「文学面において、最も刺激を受けたのは村上春樹さん」と高は明言している。

 

新人が大抜擢されることは「台湾の出版業界ではなかなか無い」と高さんは言及。日本の出版社や村上さんに対し、「作品の良し悪しだけで判断し、業界内の評判を気にしない姿勢に敬服しました」と尊敬の眼差しを向けた。


■参考文献

https://web.archive.org/web/20200401234235/http://japan.cna.com.tw/news/asoc/202004010005.aspx、2020年12月15日アクセス

https://japan.cna.com.tw/topic/column/202004010001.aspx、2020年12月15日アクセス

http://taco.shop-pro.jp/、2020年12月15日アクセス

https://illustration-mag.jp/interview/gaoyan01、2020年12月22日アクセス