デルタ型に関して知っておきたいこと
SARS-CoV-2デルタ変異株は、B.1617.2とも呼ばれ、2020年12月にインドで最初に特定され、4ヶ月後の4月頭から6月の2ヶ月にわたってインドを焼き尽くしたSARSコロナウイルス2 (SARS-CoV-2) の変異株。イギリスでは3月下旬から4月頭に発見され、4ヶ月後の現在(7月中旬)猛威を奮っている。
01.より攻撃的で感染力の高いデルタ株
ワクチン未接種なら重症化率が高い
米国疾病予防管理センターによれば、デルタ変異体は、以前の変異体よりも重症化しやすく、強力な感染力を持つ。
デルタ型は、MERS、SARS、エボラ出血熱、風邪、季節性インフルエンザ、天然痘の原因となるウイルスよりも感染力が強く、水疱瘡なみの感染力を持つ。
世界保健機関(WHO)によると、デルタ株はアルファ株よりも約55%速く感染し、オリジナル株よりも約50%速く感染する。30分会話しないと感染しなかったものが、10〜15分程度の会話で感染するようなかんじだだろう。ワクチン接種を受けていない人は、5分程度の会話でも感染するケースもよく見られる。
また、デルタ変異体は、体内でより多くのコピーをより速い速度で生成し、他の株よりも速く伝達する。そのため重症化も速く、これまで発熱から重症化まで1週間から10日かかっていたが、デルタ株では発熱から2〜4日で重症化するケースがある。
中国の最近の研究によるとワクチン接種を受けておらず、デルタ変異種に感染した人々の呼吸器系のウイルス量は、オリジナルウイルスに感染にした人々の1260倍だった。
デルタ型に感染した場合、若者でも重症化する可能性が高い。カナダとスコットランドの研究では、デルタ型に感染した人は入院する可能性が高く、シンガポールの研究では、酸素を必要とする可能性が高いことが指摘されている。
スコットランドで発表された研究によるとワクチン未接種でデルタ株に感染した人は、デルタより感染力が劣るアルファ変異体に感染した人よりも重症で入院する可能性が2倍高いことがわかった。このことから、ウイルスの量が多いほど重症化しやすいことがわかる。
6月7日、シンガポール国立感染症センター(英語版)(NCID)の研究者は、デルタ株の陽性患者は従来株またはアルファ株の患者よりも肺炎を発症する可能性が高く、ウイルスの量が多いためより酸素を必要とする可能性が高いことを示唆する論文を投稿した。
ほかの症状として、インド全土で患者を治療している6人の医師によると、コロナ患者が経験している症状には、肺炎のほかに腹痛や吐き気、嘔吐(おうと)、食欲不振、難聴、関節痛などがある。
ムンバイの心臓専門医ガネーシュ・マヌダーン氏は、一部の患者が微小血栓を発症し、深刻な場合は影響を受けた組織が死滅して壊疽になると指摘。過去2カ月にセブンヒルズ病院で血栓性合併症の8人の患者を治療し、2人は指や足の切断が必要だったという。
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02.ワクチンは感染を防止できない
ワクチン接種済みの感染者が感染を広げている
しかし、一部または全部のワクチンを接種した後でも、デルタ型のウイルスに感染する可能性は高いといわれる。新種のウイルスは免疫反応を回避する能力を持っているため、ワクチンが感染の回避にあまり効果を発揮しない可能性がある。
米ファイザーとドイツのビオンテックが共同開発した新型コロナウイルスワクチンは、感染力が強いデルタ変異株に対する感染予防率は39%にとどまるが、感染しても入院や重症化をかなり防ぐことができる。イスラエルが最近実施した調査で示された。
同国の保健省が22日発表したリポートによれば、ファイザー・ビオンテック製ワクチンは入院する確率を88%、重症化を91%の確率で防ぐ。
ワクチンとウイルスの関係は、雷雨とレインコートの関係に似ている。ワクチンは優れたレインコートである。たまに小雨が降っている場合は、おそらく大丈夫です。しかし、小雨から雷雨に移行する場合は、ある時点で、濡れる可能性がある。ワクチンも同じように身辺でウイルスをばら撒く人が猛威を奮っている場合は、免疫を回避して感染する可能性がある。
そのため、自分が予防接種を受けるだけでなく、あなたの周囲の人が予防接種を受けているかどうかという環境も重要である。
ただし、この研究はまだ査読が行われていないことに留意する必要がある。ニューヨークヤンキースの野球選手数名を含むCovid-19の検査で陽性だった完全ワクチン接種者の症例がたくさんある。
また、ワクチン接種を受けてデルタ株に感染した人は、ワクチン接種を受けていない人と同程度のウイルス拡散能力を持つ可能性があるという。
米国疾病予防管理センターのディレクターであるロッシェル・P・ワレンスキー博士は、ワクチンを接種した人がデルタ型に感染した場合、ワクチンを接種していない人と同じくらいのウイルスを鼻や喉に保有しており、頻度は低くても同じようにウイルスを拡散する可能性があることを認めた。
そのため、ワクチン接種後でもマスク着用やソーシャルディスタンスなど感染対策は必要となる。
ワクチンの種類にも注意する必要がある。デルタ変異種が急拡大するタイやインドネシアなどの東南アジア圏では、中国のシノバックワクチンを接種してきたが、被害状況を見るとその効果を疑問視する動きが広がっている。
インドネシアでは7月初めには民間調査機関が、ワクチンを2回接種した医療従事者が6月以降131人死亡し、その大半がシノバック製だったと発表していた。
米ファイザー製の使用案を検討する内部会議で専門家が「シノバック製の効果がないと認めることになる」と発言していたことが暴露され、医療関係者の間で批判が高まっていた。
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03.デルタ株とは何か?
L452R変異とT478K変異の2つの変異がある
COVID-19感染症のB.1.617.2と呼ばれるデルタ変異体は、あるウイルス株の2つの変異が合体して、3つ目の超感染力のある株を形成することを意味する。B.1.617の変異体には、
科学者たちは、D614変異、L452R変異、P681変異、T478K変異によって、ウイルスが受容体に結合しやすくなり、細胞内に侵入しやすくなると考えている。受容体への結合が容易になれば、ウイルスはより簡単に宿主細胞内に入り込み、より多くの細胞に感染することができる。
昨年10月、インドのマハラシュトラ州で、ゲノム解析とサンプル検査の結果、インド初の二重変異の症例が発見された。それ以前の検査結果では、12月以降、T478KとL452Rの変異が急増していたことが報告されている。
・T478K - 配列478番目のスレオンインからリジンへの置換である。
・L452R - 配列452番目のロイシンからアルギニンへの置換であり、ACE2受容体に対するスパイクタンパク質のより強い親和性および免疫系の認識能力の低下をもたらす。
04.日本ではどの程度広がっているのでしょうか
首都圏では50%以上、8月に置き換わる
英国政府が発表したデータによると、デルタ型は、4月上旬には全症例の1%だったのが、5月中旬には70%にまで増加している(7月現在は90%)。
日本では7月中旬、全国平均にすると20%ぐらいであるが首都圏では40〜50%を超えているといわれている。首都圏はちょうど8月頃に急速に猛威をふるうと予測される。来月初めにはおよそ80%を占め、来月末にはほぼすべて置き換わる。
西部の3県(大阪、京都、兵庫)では、この変種がいまはまだ全症例の12%を占めると推定されており、東京地域の数値よりもはるかに低い。
場合によっては、インドや現在のインドネシアのような地獄絵図になることもありえる。インドネシアでは7月14日、一日の新規感染者が5万4000人を超え、過去最多を更新し、13日までに、現地に住む日本人14人が死亡した。
英国はインド以外でデルタ株の割合が最も高く、そのケースの90%を占めており1日の感染者数は4万人を超えているが、ワクチン接種が進んでおりインドやインドネシアのような事態には現在陥っていない。
05.なぜワクチンを接種が大切なのですか?
重症化と死亡率を下げる
ワクチンの効果がないと言われていても、ワクチンを接種することは非常に重要である。現在のところ、COVID感染の可能性と重症化率と死亡率を最小限に抑える唯一の方法である
現在のイギリスとインドネシアの死亡率を見ると、ワクチンの効果は一目瞭然である。米国製ワクチンを接種していたイギリスは感染者数が1日5万人を超えているが、以前とくらべて死亡者は非常に少ない。一方、中国製ワクチンを接種していたインドネシアは感染者数に比例するように死亡者数も増えている。
07.ワクチン効果の疑問
時間の経過とともに効果が低下
7月27日火曜日に発表されたイスラエルのヘブライ大学のデータでは、ファイザーワクチンの有効性が80%低下しており、感染を抑制する措置をとらない限り、新型コロナウイルスによる重症化症例は8月までに現在の145から400に達する可能性があるという。
7月26日には、2000人以上のイスラエル人がCOVID-19に感染し、重症者の数は、過去1週間で2倍以上になった。人工呼吸器を使用している重傷者数が、2020年7月と同じ速度で増加していると警告している。
ワクチンの有効性は3月に確認されたときよりも大幅に低くなっていると研究者らは指摘している。おそらくワクチンの効果は時間の経過とともに失っているため感染する可能性が高くなっているという。
イスラエル保健省が発表したデータによると、1月に予防接種を受けた人は現在の感染に対して16%しか予防できず、4月に予防接種を受けた人の有効性は75%だった。
08.ワクチン未接種者の予防法
それでもワクチン接種が嫌な人は覚えておいてください
・ヒドロキシクロロキン、イベルメクチン、亜鉛、ビタミンDなどの薬、サプリを準備する
・換気の悪い屋内スペースや混雑した場所から離れてください
・知らない人とは2メートル離れる
・頻繁に手を洗う(または石鹸と水が利用できない場合は手指消毒剤を使用する)
・感染率に常に注意を払い、感染率のグラフが急上昇したときに自発的に社会的接触を回避する
・デルタ株が猛威を襲っている場所(明らかに周囲で救急車の音や病人の姿が絶えない)では、買い物に少しでかけただけでも感染した事例もあるので、できるだけ家から出ないこと。立ち話を避けてすぐに家に帰ること。
09.ウイルスが再び変異してさらに悪化する可能性はありますか?
集団免疫を達成できないが接種率が高い集団で変異種が発生する
国民の多くがワクチン接種を完了し、マスク着用やソーシャルディスタンスなどの制限を緩和すると、新たな変異種が発生するリスクが大幅に高まるという新しい報告が発表された。
ヨーロッパの専門家集団が、新型コロナウイルスがワクチン接種の促進運動に応じてどのように変異するかを予測したところ、今後3年以内に1000万人の人口の地域内で、ワクチン耐性のある変異株が出現することがわかった。
さらに、集団免疫を達成できるほどの接種率ではないが、集団の大部分はワクチン接種された社会集団(60%ほどの接種率)内にワクチン耐性のある変異株が出現するリスクが高いと示した。
ワクチン耐性変異株は元の株より有利になることは、元の株よりも感染速度が増すことを意味する。ただし、感染力は高くなるが元の株より致死的であるということはないという。
ワクチンのない国では新たな変異株が出現するリスク
また、WHOはワクチンがない国でウイルスが激しく拡散すると、より危険な亜種が出現する可能性が高まると述べている。
ワクチン接種国で変異種が発生するのか、ワクチンがない国で変異種が発生するのか、いまいちわかっていない。これまで、インド、南アフリカ、ペルー、ブラジル、ベトナムなどワクチンがない国で危険な変異種が誕生しているケースが多い。
デルタの次はMERSクラスのスーパー変異種
ワクチン接種を続けているだけでは、新型コロナウイルスを止めることはできない。ワクチンの保護を回避するスーパー変異株の出現を後押しする可能性がある、と研究者らは警告する。
Scientific Advisory Group for Emergencies(SAGE)が発表した文書によると、そう遠くない将来、MERSと同じ3人に1人を殺す可能性のある変異種が出現する可能性があるとトップ科学者たちは警告している。
具体的には、感染力の高い「アルファ」または「インド」デルタ変異株と「ベータ」変異株が組み合わされた場合ワクチンに耐性がある可能性があると述べた。
変異種が出現しやすい条件は、現在の英国のようにワクチン接種が行き届きつつウイルスが最も蔓延しているときであるという。
組換えとして知られるこのプロセスは、「罹患率と死亡率の増加」を伴う株につながる可能性がある。
■参考文献
・https://www.ndtv.com/opinion/coronavirus-opinion-why-delta-strain-is-dangerous-will-vaccines-work-on-it-and-other-faqs-2460438、2021年6月11日アクセス
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