リック・ジェネスト / Rick Genest
「ゾンビボーイ」で知られる全身刺青男
概要
生年月日 | 1985年8月7日 |
死没月日 | 2018年8月1日 |
国籍 | カナダ |
職業 | 見世物芸人、俳優、ファッションモデル |
活動期間 | 2009年-2018年 |
関連サイト | rickgenest.com |
リック・ジェネスト(1985年8月7日-2018年8月1日)はカナダの芸術家、俳優、ファッションモデル。「ゾンビボーイ」というニックネームで知られている。
タトゥーは全身の9割に及び、ギネス世界記録では、最も多くの骨のタトゥーを体に入れた人、最も多くの昆虫のタトゥーを体に入れた人という2件の記録保持者に認定されている。
2000年代まで、カナダのアンダーグラウンドシーンで活動していたが、2011年、レディ・ガガのミュージックビデオに出演して、世界で知られるようになる。2013年にはキアヌ・リーブス主演の映画『47RONIN(47 Ronin)』にも出演した。
2018年8月1日、ジェネストはケベック州、ル・プラトー=モン=ロワイヤルの自宅のアパートで、バルコニーから落下して亡くなっているところを発見された。警察当局はCBCに対し、死因は自殺であると告知しているが、親戚や友人のなかには事故とみなしているものもいる。
重要ポイント
- 全身の9割がタトゥーでギネス世界記録
- レディ・ガガのミュージックビデオに出演してブレイク
- "ゾンビボーイ"というニックネームでよく知られている
アンダーグラウンド時代
リック・ジェネストは、カナダ、ケベック州モントリオールのラザルで生まれた。タトゥーを入れる以前、彼は15歳で脳腫瘍を患った。合併症の手術を受ける前の待機中の6ヶ月間で、自身の生や近づいてくる死について、ひたすら熟考したという。
手術成功後、初めてのタトゥーを入れて「ゾンビ」を名乗りはじめ、ほぼ廃墟となった建物で暮らしながら、モントリオールのアンダーグラウンド・パンクの世界に入る。全身に骸骨のタトゥーを入れはじめ、カナダ全国のさまざまなフリークショーやサイドショー(見世物小屋のこと)で、「刺青の男」として活動していた。
顔面にタトゥーを入れてから間もなく、2006年11月13日にカナダの著作家シャノン・ララットが、オンラインマガジン『BME's ModBlog』上で、ジェネストに関するブログ記事を投稿し、一般公衆に紹介する。
続いて2008年、同ブログが彼に初インタビューを行なっている。このころまでに彼の全身タトゥーはほぼ完成していた。なお、このインタビューの際に、ジェネストはあだなは「スカルボーイ」より「ゾンビ」の方が好みであることを明らかにした。
次いで、RzyMのチャンネルの紹介でマスコミへ露出する機会が増え、2008年6月にイギリスの大手オルタナティブ雑誌『Bizarre』で特集されることになった。
2009年にルー・ダイアモンド・フィリップスが主演のテレビ映画『Carny』で、ジェネストはカーニバルのシーンでタトゥー男として出演している。その後、2010年夏、ケベック州ブロモンの「カーニバル・ブルー・ムーン」のフリークショー「Alive on the Inside」で、ジェネストが働いているところを現代美術家のマーク・クインが発見した。
ファッションショーの世界へ
2011年1月19日、ジェネストはミュグレーの監督だったニコラ・フォルミケッティに誘われて、ティエリー・ミュグレー秋・冬メンズコレクションで特集され、サイトのトップページで掲載された。これがきっかけで、当初予定はされていなかったジェネスとレディ・ガガに関わりができる。
ジェスネストのはまたフォルミケティのコレクション自体にも影響を与えた。ショーのプロモーション映像でジェネストは主演に抜擢され、またファッション写真家のマリアーノ・ヴィヴァンコが写真撮影した。
レディ・ガガのミュージックビデオに出演して世界的ブレイク
2011年2月27日、ジェネストはレディ・ガガの「ボーン・ディス・ウェイ」のミュージックビデオに出演。このミュージックビデオがきっかけでジェネストは世界的に有名になる。なお、ビデオ内でレディ・ガガはジェネストと同じタトゥーのメイクをしている。
レディ・ガガブームのおかげでこの年から一気にメディアの露出が広がる。特にファッション雑誌から引っ張りだこになる。2011年11月日本のファッション雑誌『メンズ・ヴォーグ・ジャパン』6号でジェネストは"Hard To Be Passive"という見出しで特集されている。ほかにイギリスのファッション雑誌『GQ Style』夏号ではフォルミケティとともにインタビューを受けており、また同年『ファッション・マガジン』夏号では、モデルのジャック・ヤガチャックとともに表紙を飾った。
大手化粧会社プロモーション映像で大ヒット
2011年後半、ジェネストは「カバーを超えて」というタイトルのキャンペーンのもと、ダーマブレンド・プロメイクアップ商品のプロモーション活動に携わる、メイクアップ班がカバー化粧品で彼の頭、胴、腕、背中のタトゥーを覆い隠すメイクを施すビデオに出演した。YouTubeでよく見かける全身のタトゥーを隠した映像は化粧品会社の広告映像である。
この広告でジェネストは椅子に座り冒頭に「How do you judge a book?」というフレーズを投げかける。これは英語のことわざで、「見た目で物事を判断してはいけない。」という意味である。
フレーズが消えたあと、隠されたタトゥーをさらけだすため胸の部分をメイクをまず取りのぞき、続いて顔のメイクを取り除く。その後、メイクのプロセスを逆再生で早送りして、全身のタトゥーが露わになっていく。
このコマーシャルは商業的に大きな成功につながり、ジェネストはオレアルと2年間の契約を結ぶことになり、また男性初の同社のスポークスマンとなった。
ジェネストは2012年にポーランドのポップシンガーのハニーのミュージックビデオ「サボタージュ」に出演。2012年1月19日に公開された。
限定500体のフィギュアに
2012年にアメリカ合衆国カリフォルニア州サンディエゴなどで開催される、漫画などの大衆文化に関するコンベンションの大規模イベント「コミコン・インターナショナル」で、人形メーカーのトナードールは、ジェネストとよく似たフィギュア・キャラクター"ゾンビ・ボーイ"を限定生産で発売。
ジェネストはトナーのゲストとしてよくイベントに招待もされていた。各人形には「Genest( "Rico the Zombie")」とジェネスト本人の証明書が含まれている。500体限定だったが、2012年7月末にはすべて売り切れた。
2012年9月にジェネストは、ヨーロッパで展開するジェイ・Zの音楽ファッションレーベル"ROCAWEAR"の顔となった。
俳優と音楽
ジェネストは2013年に、キアヌ・リーブス主演の映画『47RONIN』でフォアマンの役で出演。ジェネストは当初、映画内で呼び物となるキャラクターとして設定されており、公開前には広告やポスター、トレーナーなどに頻繁登場していた。しかし、ユニバーサルの幹部らがキアヌ・リーブスを映画に全面に出すとすることを望んでいたこともあり、最終盤ではジェネストは編集時にかなりカットされてしまったという。
ジェネストは2013年5月21日にリリースされたシングル「Dirty Rejects」でイギリスのアーティストKAVとコラボレーションを行っている。2人は2013年初頭にロサンゼルスで「Monsters Versus the World」というビデオやアルバムプロジェクトを制作した。しかし、この企画は中止された。
2015年1月、ジェネストは元ロブ・ソンビのギタリストリッグスとコラボレーションアルバムを共同で制作している。ホラー・ニュースサイト「Bloody Disgusting」上で、「Zombie Boy 666 Medley」のビデオが配信され、アルバムには6曲のサンプルが収録されている。
2017年6月、TEDx ISRUPTyouで、ジェネストは脳腫瘍の経験を詳しく語った講演ビデオ「Normal is an illusion」配信した。
2019年に発表されるジェネストの3.5メートルの彫刻「自己意識の遺伝子は」、イギリス、ロンドンの科学美術館の新しい常設展示作品になる予定である。
死去
2018年8月1日、ジェネストはケベック州、ル・プラトー=モン=ロワイヤルの自宅のアパートで、バルコニーから落下して亡くなっているところを発見された。警察当局はCBCに対し、死因は自殺であると告知しているが、親戚や友人のなかには事故とみなしているものもいる。
遺言書はなく、検視解剖では薬物のあともなかった。また、ジェネストのマネージャーによれば、自宅のバルコニーの手すりが腰よりも低かったことを指摘している。
映画・映像出演
年月日 | タイトル | 役目 | メモ |
2009年 | Carny | Carny | |
2013年 | 47RONIN | Foreman | |
2013年 | In Faustian Fashion | Phoenix | |
2013年 | Aquario | Zombie Boy | |
2014年 | Love at Last Sight | Zombie Boy | モントリオール国際映画祭短編部門選出 |
2017年 | Silent Witness | El Buitre | BBC One TV Series |
■参考文献
・https://en.wikipedia.org/wiki/Rick_Genest
・https://www.designscene.net/2011/03/rick-genest-mariano-vivanco-vogue-hommes-japan.html