一体だれが金属を盗んだのか
金属窃盗と聞けば、太陽光発電ケーブルや工事現場の資材を思い浮かべるかもしれません。しかし、驚くべきことに、抜歯された金歯や歯科金属までもが窃盗の対象になっているのです。ここでは、周防大島で発生した歯科金属スクラップ消失問題の実態に迫ります。果たしてその背後に潜むのは悪徳歯科医師の仕業か、それとも別の闇があるのか――。
周防大島町金属スクラップ問題の概要
周防大島町で発生した「歯科金属スクラップ問題」とは、町立橘病院に勤務する歯科医師が治療時に取り外した歯の詰め物などに含まれる金や銀などの金属を無断で持ち出し、2025年1月現在もその行方が分からない事件です。
2022年12月末、この歯科医師は「無断で金属を持ち出し、それを東日本大震災の被災地に寄付した」と弁明・主張しました。これに対し、周防大島町はこの行為を不適切と判断し、懲戒処分を行いました。
2022年末のこの懲戒処分の内容(処分が甘い)に疑問を抱いた周防大島歯科医師会は、2023年2月、歯科医師を「業務上横領」の疑いで刑事告発しました。しかし、2024年10月の検察の調査では「寄付を行った」という証拠が確認できなかったため、「嫌疑なし」として不起訴処分が下されました。
「寄付したため懲戒処分をした」と主張する町と、「寄付の証拠がなかったから不起訴」と結論付けた検察との見解が食い違っており、金属の行方は依然として不明のままです。
なお、刑事告訴以外に周防大島医師会は民事訴訟もしています。民事訴訟(被告変更の申し立て)に関しては現在も継続中です。
時系列
- 歯科医師は「金属を東日本大震災の被災地に寄付した」と弁明した。(2022年12月)
- そのため、周防大島町は無断で寄付したとして歯科医師医を懲戒処分にした。(2022年12月)
- 周防大島町の歯科医師への処分に不満があった周防大島医師会は業務上横領の疑いで刑事告発した。(2023年5月)
- しかし、検察は「寄付した証拠がなかった」として刑事告発を不起訴にした。(2024年10月31日)
- 「無断で寄付したから懲戒処分した」町と「寄付した証拠がなかった」という検察の見解が食い違っている。
令和7年1月の現在の状況
2022年12月の懲戒処分に不満のある周防大島医師会の訴え(更新途中)
こんにちわ、大島郡歯科医師会専務理事 武中哲郎です。
本日は町立橘医院歯科金属問題の現状と要点のおさらい、そして懲戒までの時系列についてお話していきたいと思います。
これまで住民監査請求などで捺印をしていただいた皆様、そして陰ながら応援してくださった町民の皆様、この件について興味をもっているかたにお話を聞いていただければなと思います。また、刑事、民事の結果報告もありますので、伏せてお話していきたいと思います。
目次
目次としては、最初に刑事告発や民事訴訟など今の状態についてお話します。第二章、そもそも歯科金属スクラップとは何かという話をしていきます。第三章、歯科金属スクラップの排出量の比較、売却額の比較について話していきます。これが前半になります。
後半は、第四章として金属買取業者へのアンケートについてお話します。第五章に公文書の分析、第六章として20年間の推定排出量の概算、寄付証言の概算についてお話してしていきたいとおもってます
公益通報と専門性の高い内容
最初に、なぜ、橘医院の歯科金属問題について令和3年10月から指摘しづけた理由について話したいと思います。
第一に大島郡歯科医師会というのは、周防大島町と連携して、歯科医療とか歯科保健事業を担ってきました。それで、今回のことが明らかに町民の不利益だとわかったからには報告する義務と責任があったのです。これは『公益通報』といいます。
二番目に公的医療期間での業務上横領が疑わしいのですが、専門歯科医師しかわからない内容だったから、われわれが指摘・告発し続けていたのです。
では、なぜ橘医院の告発に至ったのかとかというと、それは平成23年6月9日、大島郡歯科医師会の例会で「東日本大震災の被災地に金属を持っていった」と発言したからです。また、平成23年10月頃、大島郡歯科医師会の会長に対して、橘病院の歯科金属をどうにかして現金化して、自分のものにしたいというような冗談めいた話をしていたことを記憶していたからです。
不満に思っている4点
われわれが、不満に思っていることが4点あります。
1点目は公益通報しただけなのに、不利益しかないからです。
2番目に町側が隠蔽と黙認して、町民に対して説明責任をまったく果たしていないことです。
3番目としては当該職員の懲戒免職が非常に不公平であること、しかも現在も税金で給料をもらい続けることです。
4点目は、懲戒処分を受けたのですが、その損害賠償が1円もされていないことです。
指摘・告発に至るまでの時系列
まずはじめに、令和3年8月5日、これ大島郡歯科医師会の不正経理が発覚しました。経理を担当していたのが当該歯科医師です。これで調査を開始します。
そして、令和3年10月22日、調査中にも関わらずなんの説明もなく当該の歯科医師が大島郡歯科医師会を退会するという退会届を出してきました。
不正経理の調査もしてましたから、10月1日に当会の会長が調査中に不審な点にきづくんですね。これが今、お話していた、歯科金属スクラップなんですけど、町職員に内部調査を依頼するんですよ。要するに平成13年4月に解説して現在まで、当該歯科医師がずっと勤務しているので、スタートから今まで売却履歴があるかどうか依頼しました。これ公益通報です。
10月22日、公益通報したんですけど、専門性が高い、要するに、町職員ではどこにあるかわからなかったんですね。何が歯科金属スクラップであるかもわからないし、これは探しても見つからないということなら、歯科医師会の会長が自分がたちあって、ほかの職員とともに調査するよということで、診療室で歯科金属スクラップを4.2キロ発見することができました。そして、それをそのまま戻したのですね。
そして11月5日ですね、いったん戻した歯科金属スクラップ橘医院にて緊急回収がおこなわれた。緊急回収したときに4.2キロではなく5.5キロになったんですね。その際に、当該歯科医師は「一部を被災地に、東日本大震災に寄付したと町職員へ証言してしまう」のですね。
スクラップ量の変化です。診療室で4,2キロ、それから11月5日の緊急回収で1.3キロ追加されて5.5キロに増えました。ちょっと増えてるのはわかりますよね。で、11月12日、5.5キロを確認してもらったそうです。町職員といっしょに確認しました。先程もいいましたように、金色をした高価なものだけないということで、当会会長はこれは横領の疑いが強いと判断しました。
刑事についてですけど、1番目は令和6年10月31日に山口地方検察庁岩国支部から不起訴処分されました。不起訴処分の理由は「嫌疑なし」です。令和5年の5月30日に警察に「寄付を含めた業務上横領の疑いで調べてほしい」と告発していました。それが嫌疑なしということは調査をしたが業務上横領の証拠も寄付行為の証拠もなかった、シロだったということです。(※当該医師が寄付をしたといっているのに、寄付の証拠がない)。
2番目、民事です。令和6年11月8日、山口地方裁判所から、現在住民訴訟をしているのですが、今事務手続きの被告の不適格について争っています。まだ、事件の話はしてもらえてないんですね。で、現在、被告変更の申立をしていましたが却下されました。まだ、今後続くと思うのであると思いますが、15日に即時抗告をして却下をせずに中の話をしてくださいと、今、訴えているところです。(続く)